文章のみで文化を語ろうとすると、どうしてもイメージできない部分があり、
日本文化ですら文章に書かれていることを想像しながら読むのは難しかったです。
さらに言葉だけの説明では、どうしても説明が漏れ落ちるなと読みながら思うことがありました。
『日本人論』を読んで、文化を語るうえで、こんなにもわかりやすい本があるのかと、ものすごく驚きました。
論と先生がイメージする絵が文化をこんなにもわかりやすく伝えてくれるなんて。
特に最終章の、陰影については、ただ谷崎純一郎の本を文字だけで紹介しただけでは、理解するのに時間がかかるでしょう。もしくは理解してもらえないかもしれない。
漫画に描かれたシーンを見れば、日本人なら感覚的に瞬時に理解してしまうでしょう。
写真を張り付けるという方法もあるでしょうが、それではなんとなくは伝わるかもしれませんが、
一瞬にして納得させてしまうこの先生の漫画、描写がただただすごいです。
おしろいで顔を真っ白くしてしまう理由も論じられていますが、納得です。
影、暗闇というのは、人間なら本能で恐怖を感じるもので避けるはずなのに、
日本人はその闇にこそ美を見出す、それこそ独自の日本文化と言えるでしょう。
この感覚を忘れていたけれど、『日本人論』を読んで思い出しました。
あとがきの「そういう多様性のある文化というのは、なかなかつくれるもんじゃない」
という言葉に非常に感動しました。
世界では「多様性」という言葉がトレンドですが、
多様性どころか、一つの考えを絶対視するあまり、ポリコレが進みすぎて人々は自由を失い閉塞するだけ。
世界の様々な文化を対等に、多様性を認めていくそのカギは、独自に発展していった過程を持つ日本文化にあるのだと思いました。
私も日本文化の寛容さ、多様性を守りたい。